コラム

家庭教師と塾について

はじめに

このページは、次のことを検討したものです。

  • 「家庭教師」という語の意味
  • 「学習塾」という語の意味

以下の検討内容は、完全に私見ですから、公開する必要もないかもしれません。しかし、何かの役に立つ可能性が無いとは言い切れないので、ここに置いておきます。

関連する語の整理

公教育と私教育

封建制の解体と国家の形成

身分制社会では、集団を統治する権利が一部の人々に認められ、世襲されていくことになります。統治権が世襲されるということは、統治権が被支配者に奪われないということを意味します。

このような社会では、各集団の支配者同士が次のように結束していきます。

皇帝・国王・諸侯(大貴族)・騎士(小貴族)や聖職者などの有力者たちは、自分の安全をまもるため、たがいに政治的な結びつきを求めるようになった。そこで、主君が家臣に封土(領地)を与えて保護するかわりに、家臣は主君に忠誠を誓って軍事的奉仕の義務を負うという、人と人との結びつきが生まれた。これを封建的主従関係という。この関係は主君と家臣の個別の契約によって結ばれたが、やがて世襲化した。

『詳説世界史B』

このような体制では、「主君」であっても、「家臣」の統治権を侵害することができません。そのため、「主君」は、「家臣」を排除して、土地と住民を直接に支配したがることになります。

こういった特徴をもった封建的構造は、その後、中央集権化を目指す国王の努力によって次第に解体されていく。国王は、一方で、自己の封臣たる領主がその領民に対してもつ支配権を奪い取り、王国内の住民に対する、もはや契約関係を媒介としない直接的な支配権を獲得し、他方で、自らの封臣的地位を払拭して他国の干渉を排除し、かくして、王国内の「領域的支配権」の確立に成功していくのである。

野中ら『憲法Ⅰ』第5版

このようにして生まれた支配構造を「国家」と呼びます。

「公」と「私」

このような権力の一元化によって、社会の中には、国家権力が介入する部分と介入しない部分とに分かれます。特に、法治主義と権力分立との考え方が定着するにつれて、その区別は、より明確なものとなります。

法的に義務を課されていないとき、社会の構成員は、法的に「自由」なものとして扱われます。仮に、国家権力が介入しない部分で社会の構成員が「自由」でないならば、別の権力があることになります。このことは、国家権力が一元的であることに矛盾します。

したがって、社会は、次の2つの領域に分かれることになります。

公的領域国家によって統制される領域
私的領域人々が自由なものとして扱われる領域

なお、ここで言う「自由」は、本当に自由であることを意味しません。人は、集団の中でしか生きられません。そのため、人は、国家ではない集団にも所属し、法ではないルールに縛られることになります。

公教育と私教育

公教育

公教育は、近代国家の成立とともに、国家の教育関与が行われるに及んで登場した概念である。

今野喜清ら『新版学校教育辞典』

国家による統治は、住民を単に武器で脅しているだけでは、維持できません。

例えば、国家と住民との間に共通の言語が無ければ、国家が住民に命令することができません。また、国家は、官僚となる者を住民の中から選ぶことになるため、官僚の養成も必要です。

そのため、統治のためには、国家が住民に教育を行うことが重要となります。この教育を公教育と呼びます。

公教育で扱われる内容は、その時々のニーズによって変わるでしょう。国家が経済に強く関与する場合には、経済的に役立つ知識・技術を扱うことになります。逆に、経済を住民に大きく委ねる場合には、そのような知識や技術を扱いません。

私教育

私教育は公教育以外の部分を指し、具体的には家庭における教育を始め、学習塾・予備校での教育、企業内教育などが私教育に相当する。

今野喜清ら『新版学校教育辞典』

私教育では、人々が置かれた状況に応じて、様々な教育が行われます。

誰がコストを負担し、誰が教育を受けるのかは、社会の状態によって異なるでしょう。したがって、公教育と異なり、定義上、教育主体が誰なのか特定することができません。

また、教育の内容も、必要と思われるものが扱われます。

なお、公教育と似た内容が扱われることもあります。例えば、現代日本では、高校や大学の入学試験に対応するための教育が盛んに行われています。そして、入学試験は、国の教育基準に基づいて行われます。したがって、入試対策の内容は、基本的に、公教育に似たものになります。

教育団体

ここでは、「団体」という語を、次の2つの性質を持つ集団という意味で扱います。

  • 外部のルールとは異なる内部ルールが存在する。
  • 集団として意思決定を行う。

なお、内部ルールは、外部環境、成員の能力、団体の財力などに制限されるので、そのような実情から離れて団体が自由に決定できるわけではありません。

全ての成員が団体の意思決定に参加できるとは限りません。団体の内部で意思決定を行う役割を「機関」と呼ぶことにします。なお、法律上の「団体」は、機関が本体とされます。

さらに、「教育団体」という語を、成員の全部または一部に対し教育を行うことを目的(の1つ)とする団体として扱います。教育団体は、主に、次のような機能で成り立っています。

  • 教わる / 教える
  • 教育団体の機関
    • 生徒の入会や退会の管理
    • 教師の任免
    • 団体の外部との調整
      • 例:資金調達や集客

現代日本における教育団体の例には、次のようなものが挙げられます。

  1. 学校
  2. 学習塾
  3. 家庭
  4. 企業

なお、ここでは、「学校」「学習塾」「家庭」を空間ではなく、人の集まりとして扱っています。集まりと空間を区別するとき、学校や学習塾が教育を目的として支配する空間を「校舎」「教室」などと呼ぶことになります。また、家庭が支配する空間を「家」「住居」などと呼ぶことになります。

教育団体の機関

教育団体の機関の成員には、必ずしも、生徒や教師を充てなくとも構いません。団体内部の規範を維持するためには、機関が生徒や教師を監督すれば十分です。

市場経済においては、機関が教師を雇用します。

学校

学校は、公教育を目的とする教育団体です。そして、学校の機関には、国や自治体、それらの代理人が充てられます。

学校は、個々の生徒の家庭とは異なったルールが存在します。公教育は、必ずしも、保護者の同意があるとは限りません。したがって、公教育を行うためには、個々の家庭から生徒を隔離することが必要となります。

学習塾

学習塾には、集団指導のものと個別指導のものがあります。いずれにしても、個々の教師や生徒が所属する家庭から分離した教育団体に該当するでしょう。

集団指導塾

集団指導塾においては、基本的に、教師の教える内容や方法が正しいものとされています。そして、生徒は、教師が主張する正しさに自分を合わせることになります。

集団指導塾の教室が家庭から分離している理由は、生徒が正しさに適合しているか塾が監督するためです。単に授業を受けるためであれば、インターネットを介して授業を受けるのが合理的です。わざわざ、教室を訪れる必要はありません。

個別指導塾

個別指導では、教師が生徒の学力や学習意欲などに自分を合わせることになります。

個別指導塾が存在する理由は、基本的に、塾が教師を監督するためです。教師が生徒に合わない授業を行っている場合、塾の監督者は、その問題を解決しなければなりません。

家庭教師

「家庭教師」とは

家庭は、必ずしも、成員に対する教育能力を十分に持っているわけではありません。家庭の教育能力が不十分である場合には、教育能力を持つ外部者が必要とされます。

「家庭教師」とは、教育団体としての家庭において教育を行う教師を意味します。

家庭教師は、定義上、必ずしも生徒の住居で授業を行うわけではありません。

家庭教師の任免

家庭は、家庭教師に対して、監督能力を持っていません。家庭は、子どもにどう教えたら良いのか分からないから、家庭教師に任せているのです。また、個別指導塾の監督能力を利用することも、できません。

したがって、家庭教師は、監督を受けずに、適切な教育を行うことが必要です。

また、そのような教育能力について家庭から信用を得るためには、次のことを示すことが必要です。

  • 実績
  • 指導人数
  • 授業力
個人家庭教師【東京大学卒】福島県郡山市
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