コラム

個別指導と集団指導

目的

当ページの目的は、個別指導と集団指導とについて、ニーズの違いを明らかにすることです。

個別指導や集団指導は、それ自体、手段でしかありません。この手段に対応する目的が何であるのか検討することが必要です。

このページにおける「個別指導」と「集団指導」との定義

通常行われる授業の方法には、次のような3つの例があります。

講義
言葉や実演によって、教師が知識技術を生徒に示すこと。
演習
生徒が知識技術を実践する際に、教師が誤りを指摘するなど教師の監督の下、生徒自身が知識技術を理解し定着させること。
宿題
教師の監督外で、生徒が教師に指定された練習を行うこと。

いずれにしても、生徒数を1人としても複数人としても構いません。このページでは、3つの例を念頭に置きつつ、「個別指導」と「集団指導」とを次のように定めます。

個別指導
授業のうち、同一の授業を1人の生徒だけが受けるもの。
集団指導
授業のうち、同一の授業を複数の生徒が受けるもの。

宿題の例に当てはめると、個別指導では、生徒ごとに内容が指定されることになります。他方、集団指導では、複数の生徒に同一の内容が指定されることになります。

集団指導の必要性

集団指導は、複数の生徒が同じような知識技術を身に付けるべき場合には、最初に検討する方法となります。その理由は、次の2つです。

  • 人件費の抑制
  • 人材利用の効率化

集団指導では、1人の教師の人件費を複数の生徒に分散することができます。また、教師の数が少なくても、多数の生徒に教育を行うことができます。

教育上の責任

責任の分配

生徒にとって、教育の内容は、他人が生み出した知識や技術となります。また、教育の方法も、他人が考えて、他人が身に付けたものです。

したがって、教育においては、生徒が持つ知識技術と教育の内容生徒の現在の学習スタイルと教師の教育スタイルを別のものとして捉えることが必要です。教育を受けるためには、生徒が教育内容と教育方法とに適応しなければなりません。

逆に、生徒が適応しやすいように教師が教育すれば良いと言うこともできます。

したがって、教育では、生徒が学ぶべき知識や技術を身に付けることができたかについて、生徒と教師との間で責任を分配することが必要となります。

分配の方法

生徒が学ぶべき知識や技術を身に付けなかったとしましょう。このとき、生徒の責任とされる、つまり、教師の責任とされないのは、教師が採用した方法は正しかったと信じられた場合です。

具体的な分配の方法

現在では、結果を出さなかった教え方が「正しかった」と信じられる余地は、狭くなっています。言い換えると、どういう理由であれ、結果が出なければ意味がないと考えられるようになっています。

仮に、成績不振が生徒の学習意欲によるものであったとしても、学習意欲を喚起するように教えることが求められます。

その変化の理由は、生徒や保護者がより良い教え方を広く探せるようになったからです。その方法は、次のことを基礎としています。

  • 保護者の高学歴化
  • 社会の情報化

保護者の高学歴化

以前は、保護者の多くは、中卒や高卒でした。それに対して、教師は、大卒です。そのため、保護者の多くは、子どもの教育を目の前の教師に任せることになりました。なぜなら、何をどう教えたらよいのか、分からないからです。

他方、現在の保護者の中には、自分は、教師よりも深く内容を身に付けていると考える人が多くいます。学生時代に教師になる人よりも学力が高かった場合、特にそう考えるかもしれません。このような保護者は、「教師が採用する教え方は常に正しい」とは考えません。逆に、教師の教育を批判的に捉えるようになります。

社会の情報化

生徒と保護者は、インターネットや書籍を通じて様々な情報を入手することができるようになりました。また、生徒は、目の前の教師よりも分かりやすい授業を、インターネットを通じて受けられるようになりました。(分かりやすいことは、必ずしも、良いこととは言えませんが。)

したがって、目の前の教師による教育は、様々な教育の中の1つへと相対化されることになりました。例えば、生徒や保護者の中には、「教師Aは、教師Bより分かりやすいのだから、教師Bの教え方は良くない」と考える人が現れます。

個別指導の必要性と可能性

個別指導の必要性

集団指導においては、次のような事柄について、教師が正しさを主張します。

  • 教師が定めたカリキュラム
  • 教師が指示する学習方法

しかし、保護者にとっては、結果が出なければ意味がありません。

保護者は、自分の子どもに合った教育を意識するようになりました。自分の子どもに合った教育とは、次の3つが自分の子どもに合っている教育を意味します。

  • 教える内容
  • 教える時期
  • 教える方法

上の3つは、集団指導では困難である場合があります。したがって、保護者の一部は、個別指導を求めるようになりました。

個別指導の可能性

個別指導は、ごく少数の生徒に対して教師を1人てる以上、次のことが必要です。

  • 各生徒に個別に対応する教師の質と量を確保すること。
  • 集団指導より高い授業料を保護者が負担できること。

これらは、次のことによって、実現されています。

  • 少子化
  • 大学生教師

少子化

1世帯当たりの子どもの数は、以前よりも減りました。そのため、保護者は、1人の子どもに対し、より多額の教育費を割くことができます。

また、社会全体でも、子どもの数が減っています。そのため、個別指導に必要な教師の数も、多くはなりません。

大学生教師

これらの問題の解決方法としては、大学生教師を採用することが挙げられます。その理由は、次の3つです。

  1. 質の面では、次の理由で、大学入試を終えた大学生は、一定の仕事ができると考える人も一定数います。
    • 通常、家庭教師や塾の目的は、高校入試や大学入試に対応することだから。
  2. 量の面では、大学進学率が上がり、大学生を労働者として確保しやすい状態にあります。
  3. 人件費については、次の理由で、大学生の時給を下げることができます。
    • 大学生教師は、自分では集客しない。
    • 将来、民間教育業界で起業する予定がない。

マンツーマン指導について

個別指導には、特に、マンツーマン指導という形態があります。個別指導のうち、指導時間において教師1人に対し生徒が1人だけ付くものを意味します。

マンツーマン指導のデメリット

マンツーマン指導は、生徒1人1時間につき、人件費がさらに高くなります。

マンツーマン指導では、ある利用者が教師人件費の全額を負担することになります。他方、生徒が複数となる個別指導では、教師人件費の負担が分散します。

マンツーマン指導の必要性

マンツーマン指導は、生徒が複数となる個別指導よりも、経済的負担が大きくなるのでした。

したがって、生徒が複数となる個別指導とは別個の意義が必要です。それは、生徒が複数となる個別指導よりも大きな教育効果を得られることです。

教育の要素

学習は、2つの要素から成り立っています。

  • 学習内容を理解すること
  • 学習内容を記憶すること

生徒が1時間の授業だけで学習内容を記憶することは、ほぼ不可能です。そのため、教育を行うためには、毎回の授業などを通じて、学習内容を理解することを反復させることが重要です。

また、学習内容を理解し記憶するためには、その内容に関連する問題で練習することが有効です。その際に重要なことは、その問題を解くために必要な知識や技術を整理することです。

生徒が複数となる個別指導の具体的方法

生徒が複数となる個別指導の教師は、生徒の問題練習に直接には関与しません。

教師は、複数の生徒を担当しています。1人1人の生徒に対し、同一の授業時間に異なった学習内容を理解させなければなりません。そのため、ある生徒が問題練習をしている間に、他の生徒に学習内容を理解させることになります。

マンツーマン指導の具体的方法

マンツーマン指導の教師は、生徒の問題練習に直接に関与します。そのため、生徒の問題練習を実際に観察することができます。結果、生徒の失敗を、その瞬間に発見することができます。

生徒が問題練習で失敗する原因の1つは、その問題を解くために必要な知識や技術が整理されていないことです。したがって、教師は、生徒が失敗した時点で、(必要に応じて、)その知識や技術を整理し直すことができます。

結論

生徒が複数となる個別指導の生徒は、問題練習の間、放置されます。他方、マンツーマン指導の生徒は、問題練習の間も、教師の指導を受け続けることになります。

マンツーマン指導の必要性は、この点にあります。

マンツーマン指導に必要な能力

マンツーマン指導を適切に行うためには、次の2つを事後的に照合するだけでは足りません。

  • 生徒の解答
  • 問題集に付いている正答

問題を解くために必要な知識や技術を、解答の進行に応じてリアルタイムに引き出しておくことが必要です。

また、問題演習において生徒が失敗した時点で、何が原因となっているのか察知し、適切に質問することが必要です。なぜなら、単に答えを伝えるだけでは、問題練習として成立しないからです。

したがって、マンツーマン指導を適切に行うためには、生徒が複数となる個別指導よりも深い知識や技術が必要になります。

大手個別指導塾による批判

批判の内容

ある大手個別指導塾は、次のように言います。

先生1:生徒1ではマイナスなことがあります。それは自分で考えず、分からないところを直ぐに先生に質問してしまうこと。

批判に対する再批判

この批判は、適切ではありません。

「分からないところを直ぐに先生に質問してしまうこと」は、それ自体、悪いことではありません。マンツーマン指導の強みは、問題練習における生徒の失敗に対し、教師が即座に介入できることです。生徒の質問は、失敗の自己申告であって、教師にとっては介入する機会になります。

生徒が自分で考えなくなるのは、教師が答えをそのまま伝えるからです。この問題は、教師が生徒に対し適切な質問をすれば、起こりません。

個人家庭教師【東京大学卒】福島県郡山市
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