家庭教師派遣業者
定義
家庭教師派遣業者は、次の役割を持つ業者を意味します。
- 家庭教師の集客を行うこと。
- 家庭教師に業務を委託すること。
家庭教師は、派遣業者の従業員ではなく、業務受託者として扱われます。
家庭教師派遣業者の意義
仮に、家庭教師派遣業者が存在しないとしましょう。保護者は、多くの家庭教師の中から、子どもに合ったものを選ばなくてはなりません。
保護者にとって家庭教師を選抜することは、大変なことです。第一に、その選抜は、書面審査や体験授業などの手間がかかるからです。第二に、保護者は、家庭教師について詳しい知識や技術を持っていないからです。
そのため、保護者は、家庭教師を選ぶことを断念して、塾に流れてしまうかもしれません。家庭教育の可能性は、その分だけ狭まることになります。
家庭教師派遣業者は、保護者に代わって、上記のような手間や知識技術を負担します。つまり、家庭教師派遣業者は、多くの候補者の中から、子どもに合った者を選びます。
家庭教師派遣業者のミクロな経済構造
次の表は、家庭教師派遣業者の収支をごく大まかに表したものです。
収入 | 支出 |
---|---|
授業料 | 教師人件費 |
教務人件費 | |
広告費 |
家庭教師派遣業者は、次のことによって利益を増やします。
- 生徒数の増加
- 授業時間の増加
家庭教師にとっての利点
家庭教師派遣業者は、家庭教師にとっても、経済的にメリットを持ちます。そうでなければ、家庭教師派遣業者は、家庭教師を集めることができません。
家庭教師自身は、通常、広告を行いません。その理由は、広告の費用対効果が悪いからです。
1人の家庭教師が担当できる生徒数は、多くとも15人程度でしょう。しかし、その15人は、地域のどこに住んでいるのか分かりません。そして、その15人を見つけるために地域全体に広告を行うことは、効率が良いとは言えません。
他方、家庭教師派遣業者は、積極的な広告活動を通じて、集客を行います。なぜなら、家庭教師派遣業者自身は、多数の家庭教師に業務委託することを通じて、多数の生徒に対応することができるからです。
したがって、家庭教師は、集客を派遣業者に依存するようになります。
教師人件費
家庭教師派遣業者に集客を任せる家庭教師は、当然、集客力が十分ではありません。なぜなら、自ら集客できる家庭教師にとっては、派遣業者による広告に価値がないからです。
家庭教師派遣業者は、生徒数を増やすと、集客力の乏しい教師に対して次のようにすることができます。
- 日給を上げる。
- 時給を下げる。
一方で、集客力の乏しい教師は、1日当たりの収入を上げることが難しい状態にあります。時給を高くしても、生徒が集まりません。そのため、結局、日給を上げることができません。
他方で、集客力のある家庭教師派遣業者は、家庭教師に対し、より多くの生徒を紹介することができます。
したがって、家庭教師は、集客力が乏しい場合、自分で集客するよりも多くの日給を得ることができます。
直接契約の禁止
家庭教師派遣業者のおかげで、良い家庭教師が見つかったとしましょう。すると、仲介業者は、不要になります。それでも、保護者は、家庭教師に対する授業料とは別に、仲介料を払い続けなければなりません。
家庭教師派遣業者は、保護者と家庭教師とが直接に契約することを許しません。なぜなら、家庭教師派遣業者は、派遣契約を結ぶために広告費を負担しているからです。