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郡山市の家庭教師【東京大学卒】

近代家族

近代家族の由来

人の群れ

生物としてのヒトは成熟までに時間を要するために、誕生後一定の年齢に達するまでは他人の庇護を必要とする。また、医療技術の発達によって、今日では、諸機能の低下した高齢者(そして重病者)も生命を維持し続けることが可能となっている。そこで、これらの者に対する援助が必要となる。

大村敦志『家族法』

人が生物として生存するためには、群れの中で生きることが必要です。例えば、人は、次のようなときには、他者の助け無くして生きることができません。

  • 幼いとき
  • 老いたとき
  • 重傷を負ったとき
  • 重病を患ったとき

群れの目的は、成員の生存を一定の範囲で保障することです。なぜなら、そうでない群れは、消滅してしまうからです。

群れの変化

群れは、次のようなプロセスで小規模化します。

  1. 工業化の始まり
  2. 都市移住
  3. 職住分離
  4. 群れの小規模化
職住分離
職場と住居とが一定以上離れていること

産業化社会の進展は人びとを農民から労働者・勤労者へと変化させ、家族の中から生産という性格を奪っていった。従事する職業の変化は、人びとを土地から離れさせ、自由な地域移動を可能にしていく。そのような地域移動の可能性を確保するには、家族のサイズが小規模化せざるを得ない。

長谷川ら『社会学』有斐閣

経済の工業化が進む以前、多くの人々は、農業によって生計を立てていました。農業を行うためには、農地が必要です。したがって、彼らは、自らが保有する農地を離れることができませんでした。

経済の工業化が進むと、人々は、工場や事務所で働くようになります。工場や事務所は、農村ではなく、都市部にあります。したがって、人々は、都市部に住むようになりました。

工業化した社会では、住居内に職場があるわけではありません。そのため、大家族の構成員は、それぞれの職場に分かれて労働するようになります。家族の構成員がそれぞれ自由に移動するためには、同居する家族の規模が小さくならざるを得ません。

小さくなった群れでは、次のような弱者のケアが無条件で行われます。

  • 看病
  • 子育て
  • 介護

つまり、個々の構成員は、かけがえのないものとして生存を保障されることになります。言い換えると、家族は、成員の生存を絶対的に保障することを目的とするようになります。

近代家族の発生

このような状況で、近代家族という小規模な群れが発生しました。

成人した男女は、かけがえのない異性と同居し、家族を構成します。そして、子どもをもうけることになります。

近代家族の特徴

近代家族には、次のような特徴があるとされています。

  1. 家内領域と公共領域との分離
  2. 家族構成員間の強い情緒的絆
  3. 子ども中心主義
  4. 性別分業
  5. 家族の集団性の強化
  6. 社交の衰退とプライバシーの成立
  7. 非親族の排除
  8. 核家族
落合恵美子『近代家族とフェミニズム』1989年

「家内領域と公共領域との分離」

近代家族の成員は、情緒的に結合しているのでした。そのため、近代家族内の規範は、私的に形成されることになります。したがって、国家は、ある近代家族が存続する間、その成員の間で権力を行使する必要がありません。

近代家族は、一体となって、外部に対して支配権を持つことになります。家内領域とは、このような近代家族が一体となって保持する支配領域を意味します。

また、ここから、「非親族の排除」も導かれます。ある近代家族の成員でない者は、その支配領域に関する決定に参加することができません。

「子ども中心主義」

夫婦と未成年の子は原則として住居を同じくする。

大村敦志『家族法』

夫婦の間に生まれた子どもは、その生存について、その夫婦が責任を負うこととされます。また、子どもは、自分の行動に責任を負うことができません。

そのため、子どもは、「成人」となるまで、次のような扱いを受けることになります。

  • 保護者と同居する。
  • 保護者が子供の行動に責任を負う。

したがって、最終的には、保護者が子どもに合わせることになります。

近代家族における義務

近代家族は、成員に義務を課すことができません

通常の群れは、課された義務を果たさない成員に対し、次のことを行います。

そのため、通常の群れの成員は、生存のために義務を果たそうとします。

他方、近代家族は、成員の生存を絶対的に保障することを目的とするのでした。そのため、近代家族の成員は、自分に課された義務を果たさなくとも、家族の中で生存することができます。したがって、近代家族は、成員に義務を課すことができません。

例外的な家族

近代家族は、農業を営んできた家系に属する者が都市部に転出することによって、発生したのでした。したがって、そのような経緯の無い人々は、必ずしも「近代家族の特徴」を持っていません。