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郡山市の家庭教師【東京大学卒】

「公」と「私」の区別

国家とは

国家と封建制社会の対比

国家という社会の在り方は、ヨーロッパの歴史においては、中世の封建制社会が解体されて絶対王政が確立されていく過程の中で生み出されたものであり、したがって、国家の特徴は、通常、封建制社会の在り方との対比において理解される。

野中ら『憲法Ⅰ』第5版

封建制社会とは

皇帝・国王・諸侯(大貴族)・騎士(小貴族)や聖職者などの有力者たちは、自分の安全をまもるため、たがいに政治的な結びつきを求めるようになった。そこで、主君が家臣に封土(領地)を与えて保護するかわりに、家臣は主君に忠誠を誓って軍事的奉仕の義務を負うという、人と人との結びつきが生まれた。これを封建的主従関係という。この関係は主君と家臣の個別の契約によって結ばれたが、やがて世襲化した。

『詳説世界史B』

封建制社会における国王の立場-1

封建制社会においては、国王は王国のすべてを直接的に支配していたわけではなかった。地方に対する支配は地方の領主との封建契約を通じての「人的支配」にすぎなかった。それは、契約関係を基礎にする支配であるから、その命令権は契約当事者に対してしか及びえず、自己の直轄地を除いては王国内の住民を直接的に支配するということはなかったのである。

野中ら『憲法Ⅰ』第5版

封建制社会における国王の立場-2

また、国王は、一般的には封臣の上に立つ封王の立場にあったが、ある領地については他の国の国王からそれを封土として受領しており、その限りで封臣の立場に立つということもあった。

野中ら『憲法Ⅰ』第5版

国王による領域的支配

しかし、こういった特徴をもった封建的構造は、その後、中央集権化を目指す国王の努力によって次第に解体されていく。国王は、一方で、自己の封臣たる領主がその領民に対してもつ支配権を奪い取り、王国内の住民に対する、もはや契約関係を媒介としない直接的な支配権を獲得し、他方で、自らの封臣的地位を払拭して他国の干渉を排除し、かくして、王国内の「領域的支配権」の確立に成功していくのである。

野中ら『憲法Ⅰ』第5版

国家とは

こうして生み出された、封建制社会とは異なる新たな支配構造をもつ社会が国家と呼ばれる。

野中ら『憲法Ⅰ』第5版

権力集中の背景

このような権力の集中がなされたことには、以下のような背景があります。

  • 国王が常備軍を形成したこと
  • 土地生産物の価格が下落したこと
  • 自力救済による社会の不安定

「公」と「私」

このような権力の一元化によって、社会の中には、権力が介入しない部分が現れます。国家権力が介入しない部分では、社会の構成員は、自由なものとして扱われます。

仮に、国家権力が介入しない部分で社会の構成員が自由でないならば、別の権力があることになります。このことは、国家権力が一元的であることに矛盾します。

なお、自由とは、大まかには、様々な意思決定につき他者の干渉を受けないことを意味します。

つまり、社会は、次の2つの領域に分かれることになります。

公的領域
国家によって統制される領域
私的領域
個々人が自由なものとして扱われる領域

個人の支配領域

個々人が自由に活動するためには、次のことが必要です。

様々な領域を個々人の支配領域へと分割すること自体は、基本的に国家権力が保障します。したがって、「ある人の支配領域は、どの部分か」という問題は、公的領域に属することになります。

また、国家や他者に対して義務を負った場合、支配領域において義務を履行りこうすることも、公的領域に属することになります。したがって、個人の支配領域も、公的領域と私的領域に分割されることになります。

プライバシーの成立

支配領域の内部では、個人は、原則として、義務を負いません。

他方、支配領域の状態について他者に知られることは、他者がその良し悪しを評価することにつながります。その結果として、個人は、支配領域について、他者の利益に配慮せざるを得なくなります。

したがって、支配のためには、支配領域における情報が必要なく他者に知られないことが必要です。

「プライバシーの成立」とは、支配領域における情報が必要なく他者に知られないことを求めるようになることです。

もともと個人の尊重の原理から要求されるものは、個人の自律的な社会関係の形成を尊重することである。そして、自律的に形成される領域は、本来公権力や第三者によって干渉されてはならない領域であるから、それらが、その領域の情報に立ち入ることも許されないということになる。言い換えれば、個人はその領域についての情報を他に対して秘密にしておく権利を有するということであり、これがすなわちプライバシーの権利であると考えられる。